私が時々立ち寄る、紳士服の店員さんのリーダー的な存在としてOさんという方がいらっしゃいます。(一見ホスト風のチャラ男の様な方です。Oさんごめんなさい。)

年末、スーツを購入しお正月明けに宅配により届けられましたが、試着してみると少々不具合がありました。
Oさんに連絡するとわざわざ名古屋から安城まで取りに伺いますと言われました。
あまりにも恐縮なので、宅配で送り直しますと伝えましたが、着たところを直接確認したいので是非伺わせて欲しいとのこと。お言葉に甘え来ていただきました。
Oさんがお見えになったのが丁度お昼時だったため、ランチにお誘いしました。

実にきめ細かな配慮をされるOさんに様々な質問をしました。その中でも思い掛けない答えが返って非常に学びとなったことをお伝えします。

(私)『デパートはお客様の期待値も高く、時には相当レベルのわがままなお客様もいらっしゃると思いますが、そんな時はどの様に対応されるのでしょうか?』と聞いてみました。

(Oさん)『私はスタッフの皆がしり込みする様なお客様こそ率先して接客をします。相手は、人です。自分が嫌だなっと思った瞬間、相手にもその思いが伝わってしまいます』

(Oさん)『偉そうに振舞うその態度はそのひとの極一部分に過ぎません。本当は傷つき易いナイーブな方だからこそその様な態度をとってしまうと思うのです。色眼鏡で見るようなことをせず、本当にこの人のお手伝いをしてあげたい。という気持ちさえあれば、必ず相手の態度が変わります』と。

この話を聞いた瞬間、『Oさん臨死体験をされていませんか?』と伺うと、やはり30代の時に髄膜炎を発症し、半年間寝たきり状態だったそうです。
まぶた以外自分の意思で動かすことが全く出来ず、常に天井にはお迎えの方々が現れていたそうです。

そんな壮絶な経験により、Oさんは「人間はひとりでは生きて行けない。支えられて生きている」ということを実感し、関わる人全てに感謝の念が自然と湧きあがってきたそうです。
本で読んで、頭だけで理解している私とは次元が違う。この人は本物だと実感した次第です。もし、機会があればOBの皆様に是非このOさんの実話を生でお伝え出来たらと思いました。

話は少しそれますが、他にもOさん同様、尊敬できる格好いい方々が沢山みえます。
私のお爺さん(創業者)の代から可愛がって頂いているお客様の息子さんは異色のドクターで大型ハリケーンの中、太平洋をヨットで横断。
スマトラの震災には日本赤十字から救援ドクターとして活躍された素晴らしい方です。

また、20年ほど前に家づくりをお手伝いさせて頂いたお客様は、暴走族専門の取り締まりに従事され、暴力団関係者に囲まれた族を独りで助けに向かったこともあるそうです。
族の子供たちも1人の人間だとして尊重し、族を卒業し大人になってからも度々人生相談をされる警察官の方。
魂を揺さぶられる実話は、人生と心が豊かになります。是非生でライブをしてもらいたいと感じています。

微力ながら弊社とご縁のあったお客様に皆さんの素晴らしいお話をシェアすることが出来たらとても嬉しく思います。

創業昭和四年 安城建築 浅井宏充