ラップ張りの日本式の呼び名はよろい張りと言います。よろいとは戦国時代の武将が戦の際に身に付けていたあのよろいです。戦の際の激しい動きにも柔軟に対応しつつ刀から身を守ります。

このラップ張りはアメリカン住宅のシンボルの様に思われている方も少なくないようですが、日本でも昔古来の在来工法や神社仏閣、博物館明治村の建物の多くにこのよろい張りが使用されています。

技術者的の立場で助言させて頂くとよろい張りは、一枚ずつ重ねて張っていくことで僅かではありますが、重なりの部分に隙間が出来通気を促し、地震の際は、よろい兜同様、地震による歪を吸収する働きもあります。

先人方の知恵はやはり正しく、ラップ張りは高温多湿、そして地震の多い日本の気候風土に最も適している外装だと私も思います。

余談ですが、北米でのラップ外装の使用に関しては、比較的安価なスターターハウス(第一所得者層向け住宅)には樹脂製のラップ調サイディング、カスタムハウスには窯業系(セメント質と繊維質)のサイディングが使用されています。間近で見比べる、コブシでコンコンと叩いてみると明らかにその重厚感の違いが分かります。

創業昭和四年 安城建築 浅井宏充