「一番大切なものを失った」
南田洋子を失った長門裕之の言葉が印象的だった。

誰もが避けては通ることの出来ない老。しかし、多くの人々が「最も理想とする美し
い歳の重ね方」だと感じたのではと思う。

オシドリ夫婦と呼ばれたこの夫婦にも、山あり谷あり、長門の若し頃の過ちを経て最
終的に人々から憧れる夫婦となった。その経緯に「人間らしさ」を感じ強く共感し
た。

長門の実話の中で、以前長門が映画づくりに失敗しその借金は4億となった。そんな
状況にも関わらず、南田がもう1000万銀行から借り、長門に内緒でベンツを買ってき
た。当然、長門は激怒。(当然ですね)
それに対し、南田が言ったことは、「俳優らしく生きていなきゃ」。

この言葉を聞いた長門の感情。男の私には物凄くよく解る。胸が詰まる思いだったと
思う。何を隠そう、崖っぷちに立たされた男は実に弱くうろたえる。(女性は肝が据わ
る)

長門に限らず、私たちも夫婦となることで相手の人生を変えていき、自分の人生も変
わっていく。ふたりだったからこそ乗り越えられたことも沢山ある。

長門と南田洋子の夫婦のあり方は、「生き方や人生の豊かさ」について、多くの学び
になったことだろう。

創業昭和四年 安城建築 浅井宏充