昨日少々遺憾に思う大手住宅メーカーの新聞広告があった。それは、家づくり初心者でこれから家を建てようとしている方を惑わす内容のものだった。(安建ファミリーの方には釈迦に説法な話しですが・・・)

築23年で阪神淡路大震災も耐え抜き、耐震性も築23年経過しても資産価値も下落しない住宅です。ということが言いたい様な広告であった。以下はその広告の一文。

「こんなデータがあります。住宅の平均寿命は、米国が約55年、英国が約77年に対し、日本はわずか約30年。・・・築30年を経過しても、建物に資産価値があり、売買できる家であること。そして住まい手が、愛着をもって住みつづけること。これらの用件を満たすことで、ロングライフ住宅と呼べる家になるのです」というものだった。

耐震性や耐火性については、以前この日記でもお伝えしたが、現在の建築基準法を満たしていれば、地盤の液状化やがけ崩れを除き、十分耐えうる性能はどの家でも満たしている。

時計が正確な時間を示すと同様、当たり前のことである。今更自慢することでも無いと思う。

一番遺憾に思ったのは、日本の住宅の平均寿命が短いその説明が全く勘違いしている。

物理的に居住することが不能になり、ミンチ(解体)される住宅は非常に少ない。

30年後の資産価値と聞くと、少々難しく聞こえるが、実はとてもシンプルである。「30年後、第三者がこの家に暮らしたいかと思う様な家であるか否かである」それで、全ての資産価値は説明が完結する。いくら、物理的に暮らせても、第三者がこんな家に暮らしたく無いと思う様な家には資産価値は無く、評価されるのは土地のみである。

どんな家でも、極端な話し賃貸アパートでも、暮らし始めれば、人は愛着を持つ。しかし、真の愛着とは、道行く人までもがどことなくなつかしさを感じ、優しい気持ちになることが出来る住宅こそ、真の資産価値を兼ね備え、誰もが愛着を持つことが出来る家だと思う。

感性が豊かで勉強熱心なエンドユーザーはこの様な広告を見れば見るほど不信感を抱くに違いない。

創業昭和四年 安城建築 浅井宏充