14年前の昨夜(1月16日)、小学6年生の少年は筆箱の鉛筆を削り、宿題だった日記を終え、ランドセルに詰め込み眠りに就いた。

宿題の日記には、翌日(17日)の夜、家族皆で食べる為のカレーの仕度をした様子が描かれていたという。

17日午前5時46分。阪神淡路大震災発生。少年は目覚めることは無かった。

私には家族の悲しみの大きさは想像すらできない。悲しみを乗り越える為にはとても長く辛い時間を要したと思う。

あれから8年、家族に新しい命(弟)が誕生し、その弟が今年小学校に入学。弟の背中にはお兄ちゃんのランドセルが背負われていた。

毎年、1月17日の夜はお兄ちゃんも一緒の「カレーの日」となっているという。

子供に対して少々口うるさい私には、この家族から

「生きているだけで充分でしょ。それ以上何を望むの?」

そう問われている様な気持ちになった。

創業昭和四年 安城建築 浅井宏充