現在、地元安城で北欧スタイルの家を建築中。この北欧スタイルは、以前から安城建築の新たなデザインラインナップに加えたいと予ねてから考えていた。

日本一と言われる北欧住宅の研究者にもお会いし、北欧の文化思想の聞き取りから始まり、文献の閲覧をし、モデリング可能な国内の北欧の建物を視察した。

北欧住宅の研究者に伺ったことで印象的だったのは、スウェーデン建築関係者曰く、日本の北欧住宅は本場のデザインとは全く違うということだった。確かに、北欧の建築関係の文献を私が観ての感想も同じだった。

情報を自分なりに吟味し、現在日本で造られる北欧スタイルの盲点と感じたことは、極端な断熱性能を持たせることにより、建築コストが断熱に偏り、デザインが貧しくなり、全館空調システムを入れることが出来ないこと。更に、寒冷地の住宅の為、夏の暑さ対策が取られていないため、北欧住宅生活体験者の多は、真夏にエアコンを切った状態で帰宅すると室内が猛烈に暑いという。

一般的に高気密高断熱の住宅は年中快適と勘違いされる方がいるが、それは違う。真夏に電源を落とした冷凍庫を炎天下に置き続けたとしたらどうなるか・・・?
時間を掛けて外部から熱が伝わり、いずれ冷凍庫の中も暑くなる。しかし、日が落ちても今度は冷凍庫の中の温度は中々下がらない。いわゆる熱が断熱材に「こもる」という現象である。高気密高断熱の副作用である。

安城建築が北欧住宅を手掛ける上で、決めたことが4つある。

①外観デザインは、北欧の方が見ても本物以上だと感じること。
②所得可能な建築費内に納めること。
③北海道の様な極端な寒冷地仕様とはせずに、愛知県の気候風土で年中快適に暮らすことができること。特に夏の暑さ対策に重点を置き、断熱と共に遮熱(暑さを遮断する)という考え方を取り入れる。
④これまでの住宅同様、全館空調システムを取り入れオープンプランニング(家族の顔が見えるオープンな間取り)の室内空間をより快適にすること。

上記のことを踏まえて、この北欧スタイルミッションが始まった。

契約前、お施主であるF様から「安城建築さんでしか出来ない様な家にして下さい」というお言葉を頂いた為、破風のデザインを建築家の手塚氏と文献を参考にしながら細部まで打ち合わせを繰り返した。

現在、神の手を持つ外装職人が外部を仕上げている。間もなく彼が破風(屋根の三角の部分の飾り)の作成に入る。彼は、この飾りの為に、身銭を切ってより曲線が自由に切り抜くことができる道具を新調してくれていた。

来年2月の完成予定。北欧スタイルの好きな方はたまらない作品になると思う。

⇒現在外装工事中の北欧スタイルの建築現場。今後、職人の手づくりによる北欧スタイルに似合う手摺が取り付けられる。

⇒破風のデザインを建築家の手塚氏と打ち合わせを繰り返す様子。

⇒この部分が破風(はふ)。この上に更に外装職人のてづくりによる芸術的な破風が飾り付けられる。

創業昭和四年 安城建築 浅井宏充