理由は至ってシンプル。その家に暮らすユーザーが長期的に得をする為である。

先日、数十年前に弊社で建てられたOBのお客様より、リフォームの依頼があった。準防火地域(火事になると延焼しやすい地域)に属し、その当時は防火サイディングという防火建材が無かった為、外壁にはモルタルが塗られているタイプの家である。

数十年前のサッシの為、既に雨戸の開閉もスムースで無くなり、結露も酷かった為、断熱サッシへの取替えを希望された。

しかし、外壁にモルタルを塗り込んである為、サッシの取替えにあたり、外壁のモルタルそのものを剥がし落とさなければサッシを取り外すことが出来ない。一方サイディングの場合、サイディング周りの枠材を外すだけで比較的容易にサッシ交換が可能となり、単純に比較した場合、費用が数倍安くなる。

昨今、ブームが下火となった塗り壁の家(モルタル下地の家)も上記と同様のことが言え、将来的にサッシ1本を取り替える場合でも、サッシ廻りの補修だけでは色ムラがはっきり分かってしまい、一般的にそのサッシを取り替える外壁面、1面全てを塗装し直さなければならなくなってしまう。

明治村に残る多くの西洋建築の外壁には、ラップサイディングが使用されている訳も、上記の理由からである。

創業昭和四年 安城建築 浅井宏充