弊社のモデルハウスがこの春で築12年を迎えた。一般的な住宅展示場のモデルハウスが築5年でミンチ(解体)されることを考えると、このモデルハウスは、おそらく日本最古のモデルハウスではないかと思う。

このモデルハウスは誰もが知る天才ジョッキーの家を設計したアメリカ在住日系3世の建築家によるものであり、本場の家に比べ少々小振りであるが、外観デザイン、オープンプランニングという開放的な間取りの設計は本場のものと同様である。

建築当時、このモデルハウスが日本の住宅の価値観を変えて行くことになると信じていた。

建築にあたり同業者からもお手本とする様な輸入住宅を造ろうと考え、上記建築家より腕利きの大工を紹介して頂いた。この時程、英語の勉強をしておけば良かったと痛切に感じたことはない。カタコトの英語とカタコトの日本語で体より頭が疲れたことも今でも覚えている。

このモデルハウスのプロジェクトは様々な想い出がある。

大工は4人のチームだったが、仕事が終わると毎日必ず少し離れた橋から腕組みをしながら自分たちの仕事の評価や明日の作業のミーティングをしていた。(写真のアングルは、彼らと同じ目線)

建築中、彼らと共にし、日本では築20年もすると家の資産価値がゼロになり、土地にしか価値がなくなる住宅事情を話した。

ボスのジェリーが言った。「俺たちの造ったこの家も同じと言うのか?」

私が「解らない・・・」と言うと、「絶対にそんなはずはない」とジェリーは言い切った。

あれから12年。ジェリーの言ったことは正しかった。

この実証から、今後安城建築は流行を追う家づくりは絶対にしないだろう。お施主さんの未来の為にも。自分たちの為にも。

創業昭和四年 安城建築 浅井宏充