間もなく完成する現場の社内検査の際、現場監督と共に弊社専属のドライウォール職人も自分の仕事の手を止めて一緒に現場を観て廻ってくれました。通常、自分の仕事以外の事には口出しをしないのが、職人同士の社交辞令と言えます。

共に検査するということは、時として指摘された職人から、監督でもないお前に指摘される筋合いではないと憎まれてしまうこともあるでしょう。そんなリスクを背負ってでも共に確認したいという彼には、『チーム安建メンバーとして共に協力し、より高いレベルを目指してしていこうじゃないか』という志を感じます。

弊社の建物は、一棟一棟全て異なるフルカスタム住宅のため、全てをマニュアルでカバーすることは出来ません。よって、詳細の造り込みは一棟一棟詳細図面を描き、それを元に現場にて現場監督、職人、時としてデザイナーも同席し、納まりを決め、最終的に職人に委ねます。しかしながら、足場の上で収まりを検討したものの、足場を外してから地上から眺めると少々アンバランスを感じたりすることもあるのです。お客さんには分からなくても我々プロには分かります。それをよしとするか否か。

一箇所でもその様な部分があると、どうしてもそこが気になって仕方なくなります。今回共に検査して廻ったドライウォール職人も同様です。一旦造ったものを壊すのは誰でも嫌ですが、そのまま目を瞑れば、そこを通る度に自分自身のプライドが傷付きます。やはり、志を持って携わった者ならば、それが許せないのです。

創業昭和四年 安城建築 浅井宏充