25年前の冬、カリフォルニアのサンノゼでホームステイの経験をした。

ホームステイ先は米国のどこにでもある一般家庭で、米国の平均的な家に比べ部屋数や部屋の広さは少々小振りな家だったと思う。

ゲスト用の部屋が無かった為、家の方は私にファミリールーム隣のリビングルームのソファをベットメイキングしてくれた。真冬にも関わらず、夜中でも家の中は何処も暖かくオープンなリビングルームにも関わらず、毛布一枚で充分だった覚えがある。

滞在中にホームステイ先の親類の家でのクリスマスパーティーを経験した。照明を落とした部屋には、大きなクリスマスツリーの電飾がとても美しかった。ツリーの根元には沢山のクリスマスプレゼントが用意され、クリスマスムードを豊かに演出していた。

親類の家も当然の様に全館空調により、快適そのものだった。後々知ることになったが、その当時米国では殆どの一般家庭に全館空調システム(セントラルヒーティング)は導入されていた。

クリスマスパーティーも終盤に近づくと、プロジェクターで巣立っていった息子さんや娘さんの小さい頃の想い出が壁に映し出された。今思えば、そのプロジェクターの投影先の壁がドライウォールの壁だったと思う。

25年も前に既に全館空調システムとドライウォールは当たり前の様に採用されていたことに驚く。我が国の北米輸入住宅も外観やインテリアだけでは無く、ユーザーの方に輸入住宅の本質を知って頂く為に全館空調システムとドライウォールの標準化を切に願う。

米国では快適な室内温度で暮らす為に全館空調システムが必要だとは考えていない。家の中は快適であることは既に当たり前だと考えている。全館空調は、家族の顔が見えるオープンな間取りを実現する為にどうしても必要なのである。米国の人々にとって、家族と共有する時間こそが豊かさの根源だと考えているからである。一段階上の欲求を満たすために全館空調が必要だと考えているのである。

創業昭和四年 安城建築 浅井宏充