あるご家族から、新築又はリフォームの相談があった。弊社への依頼の理由を尋ねると、93歳のおじいさんからの指名だと言われた。弊社の創業者と知人であったことや、弊社の歴史と信用からのようだった。

おじいさんの昔話を伺っている時、私と澤の背筋がピンと張った瞬間があった。

それは戦友の多くを亡くした大陸での戦争体験談。

想像出来るだろうか?
隣で共に銃を構えていた友が、次の瞬間にはもうこの世には居ないことを・・・

終戦後、命からがら帰国すれば、国を守る為に命を掛けて必死に戦って来たのにも関わらず、今度は戦犯扱いにより、中々就職も出来なくとても困ったと。

そして、ようやく就職できた先は鉄工所。
しかし、その代償として粉塵により気管支を患ってしまったと咳き込みながら話してくれた。
これほどの壮絶な体験をされているにも関わらず、おじさんは終始笑顔で淡々と話されていた。

想像を超える悲しみや怒りまでも時の流れにより次第に薄らいで行くのだろうか。
この様な壮絶な生死紙一重の環境下を体験された方は言葉に重みがあると感じる。
生きて行く強さは経験した試練に相対するとも思う。
真っ直ぐな死生観を持たれており、この様な方の話は真剣且つ素直に聞き入ってしまう。
人生の師だと私は思う。

間もなく終戦から63年を迎える。
おじいさんの様な壮絶な戦争体験者は貴重な存在。
機会があれば安建ファミリー皆様へお話し頂ければとも思っている。

創業昭和四年 安城建築 浅井宏充