米国のサブプライムローンのニュースをどの様に感じられているだろうか?
「結局、米国の家も日本の家の様に大幅に下落してしまうのか」そう思われている方も少なくはないと思う。
テレビのニュースでは解りにくいので、少々付け加えてご説明したい。

サブプライムローンで破綻した多くは、通常の銀行ローンが支払えない白人以外の低所得者がその多くを占める。米国の住宅街では、大凡街自体が同じ様な所得層によって形成されている。特に、テレビに撮影される空き家の街は、今回のサブプライムの打撃をまともに受けた低所得者向けの街であり、その為、映像の多くは空き家となった街が定番なのである。

高級住宅街で同様の差し押さえがあるが、これは住宅バブルの影響により、異常に高騰した住宅を更に投資目的に購入した人々がローン返済不能になった為である。

一見、全米の住宅価格が大幅なにダウンしている様に思うが、ニューヨーク州では、8%程度の下落に納まっているらしい。カリフォルニアに自宅を持つ知人もそれほど影響はありませんと言っていた。

米国では差し押さえの期限が来ると、突然警察官が訪れ、即刻強制退去となるらしい。これだけを聞くと、「それはあまりにも酷い!」と思うが、実はそうでもない。

以前、この日記でも少し紹介したが、日本と決定的な違いがある。米国では返済が滞って差し押さえられた瞬間、残りのローンは抹消される。日本では、差し押さえられたあげく、ローンも残る。(住宅そのものに価値はないという理由から)

しかし、日本においても差し押さえ前なら、価格はユーザーからの「こんな家なら暮らしてみたい」という人気で決まる。その為、私は多くのユーザーから「こんな家が欲しいよね」と思うような家をつくった方が人生に巾が持てると思いますよ」とお話しさせて頂いている。事実、地域の不動産評価価格より、1000万以上の高値で売買された事例がある。

通常米国では、デザイナーズ住宅の様な流行に左右されやすいデザイン住宅には、銀行もお金を貸してくれない。理由はシンプルである。流行が去った時、欲しいというユーザーが居ない為である。クラシック音楽同様、クラシックデザインの建物は時を経ても人気は衰えにくいと言える。

先行き不透明な時代だからこそ、将来、「高く売れたり、貸せたり」出来る可能性が高い家の方が暮らす方の気持ちや人生の選択肢の巾が広がると思う。

創業昭和四年 安城建築 浅井宏充