先日、高校の先生との話しの中で、同僚の先生が先日の卒業式での感動(先日私の日記でご紹介した式辞をした生徒の担任の先生)を今でも話していますよと教えてくれました。私が『あれはやられちゃいますね。担任の先生は教師冥利に尽きますね』と言う話に続き、先生から『浅井さんの仕事で今までで一番感動したことは何ですか?』と唐突に質問されました。

私は即答しました。『お客さんから握手を求められた時です。あれは、本当にたまりません』と。

一度目は約20年前、先々代からお世話になっているS様の息子さんのご自宅を完成した時でした。引渡しの際、『本当、本当によくやってくれました』両手で強く私の両手を包み込み握り締められ、独り帰りの車中、涙腺が緩みましたね。最高のねぎらいであり、『本当にこの仕事をやっていて良かった・・・』と強く感じ、この時の感覚は今でも鮮明に覚えています。

二度目はつい先日、あるOBのお客様宅に訪問させて頂いた時です。
数年前、そのお客様には私が大変失礼なことをした為、私に対してとても遺憾に思われていたと察します。その失態は、もし、私が逆の立場だったら・・・と考えると怒れて当然のこととして、本当に申し訳無かったと反省しております。その一件があって、当然のことながらそのお客様との関係性は永久的に修復不可能だと感じていました。

そんな出来事から数年、そのお客様にある出来事があり、(ここでは詳しくのご説明は控えさせて頂きます)弊社営業が少々お手伝いをすることとなり、再度お客様とやり取りをさせて頂くことになりました。その際、私がその時の失態のお詫びの気持ちもあり、そのお客様に対し少々おせっかいではありましたが、自分の想いを託したものを、営業を通じて渡してもらいました。

それから数ヶ月が経ちそのお客様の定期点検の月となり、先日私が点検に伺わせて頂きました。もしかしたら顔も会わせたくないと思われているかも・・・と正直不安はありました。

お客様宅に到着して軽トラの中で準備をしていると、ご主人が玄関から出て来られ、深々と頭を下げられ両手を差し伸べられました。全く想像も出来ないご主人の行動に一瞬、『エッ?どうして手を差し伸べられている??』と。

『この度は本当に色々と・・・』と感謝のお言葉を頂き、本当にサプライズの出来事でした。自分でもこんなことが本当に有りえるのか??と天を仰ぐ様な出来事で、一度目の出来事と同様、帰りの車中、熱いものと嬉しさが込み上げて来た次第です。

追伸、話は変わりますが、次男が大阪の大学(建築学科)へ行くこととなり、引越しの荷物と共に次男を送り届けて来ました。引越し及び手続きが全て完了し、『ほいじゃぁ、行くわ』と言うと、『ありがとう』と同時に手を差し伸べて来ました。その様なことは私も初めての体験であり、子供より逆に自分自身が妙に照れくさく、子供に一本取られたという思いでした。

次男の表情は、ひょうひょうとした態度でしたが、差し伸べた手を握った瞬間、手の冷たさから、知らない街でこれから始まる独り暮らしへの不安と緊張がヒシヒシと感じ取れました。様々な経験を重ね大きく成長することを願いました。

創業昭和四年 安城建築 浅井宏充