私のメンターのひとりである戸谷英世先生と共に横浜山手の洋館視察を学ぶツアーに参加した。何度も訪れた場所だが、いつも新たなる気付きがある。

HICPM研修2008 1①HICPM研修2008 1②HICPM研修2008 1③

「これらの建物がどうして残ったか?その理由を考えて頂きたい」と先生は言った。

現在残っている洋館全てが、伝統的な建築様式に基づいたデザインとなっている。いわゆる、斬新と言えるデザインは一棟も残っていない。これらの建物の多くは築80年以上の時を経ているが、近隣に新築されている億は下らないと思う住宅より、凛として美しく愛着を感じる。

ランドセルの子供たちが洋館通りを歩いていた。多分、この小学生の子供たちが大人になった時もきっとこう思うだろう。「この洋館は、時を経ても美しい。子供の頃から私を見守ってくれている様な気がして、とてもおだやかな気持ちになる」と。

技術屋としての気付きとして、現在残っているスパニッシュスタイルや南仏スタイルの塗り壁の西洋館は、日本の気候風土を考え、全ての建物に軒の出があり、雨水が壁を伝わらない様に考えてあった。伝統的なデザインを謙虚に取り入れながら、デザインを崩さずに日本の気候風土を考慮されて造られている。先陣の知恵である。

創業昭和四年 安城建築 浅井宏充