昨年末、ネットで豊橋にある鉄道模型のお店を見つけた。奥まった場所にあり、非常に見つけにくく、3回も電話でマスターに場所を尋ね、何度も周辺をグルグル回りやっと見つけた。海上用コンテナを改装した小さなお店は仮設店舗の様で、お世辞にも立派とは言いがたい店だった。

私が品定めをしていると、驚いたことに、お客である作業服のおじさんと若いお兄ちゃんが細かにアドバイスしてくれるのである。そのアドバイスの細かさはやはりマニアだけあってプロ級であった。アドバイスを参考に購入し、丁重にお礼を伝え、店を後にした。

帰り道思ったことは、「あの店のマスターは幸せなんだろうな」と思った。

多くの人々が仕事を苦行と思い、その苦行を耐えることにより対価を手に入れることが当たり前とされている。しかし、「人生の豊かさ」という計りで考えると少々疑問が残る。

想像で申し訳ないが、大企業に勤務した方が年収は高いだろう。しかし、時間を費やし苦行に耐える人生と、このお店のマスターの様に、好きな鉄道模型とその仲間に囲まれて過す人生では、「人生の豊かさ」は大きく違うのではないかと思った。

創業昭和四年 安城建築 浅井宏充