その洋風住宅、本物ですか?
洋風住宅を名乗る物件は数々あれど、本物の洋風住宅を建てるには、古今の西洋建築様式を熟知したデザイナーの力が不可欠です。デザインの持つ価値を軽視すると、何となく雰囲気だけを真似した“なんちゃって洋風住宅”ができあがることに……。
欧米の歴史ある建築物を見てもわかるように、長い歳月の間に研ぎ澄まされた美しいデザインは、流行に左右されることなく人の心を動かすものです。優れたデザイナーによる本物の洋風住宅であれば、時を経ても美しさは味わいを増し、資産価値も持続します。
洋風住宅を建てる際は、設計を担当するデザイナーはどんな経歴や実績の持ち主なのか、ぜひご確認を。経歴・実績とも信頼の置けるデザイナーこそ、あなたの大切な家づくりのパートナーです。
もちろん、そのデザインを実現する職人の技量が高度でなければ、デザイナー渾身の設計も絵にかいた餅になってしまいます。建材の特性を理解して使いこなす技術、複雑な装飾を精緻に造りこんでいく丁寧な仕事ぶり。そうした技と心を持つプロフェッショナルチームが全力を発揮して完成した洋風住宅は、本物の輝きを放っています。
米国の19世紀後半、最も人気のあったクイーン・アン様式の輸入住宅。
階段手すりの折り返し部分を細かく調整する大工。
建材名は同じでも性能には差が。
ウレタン断熱材、サイディング。家を建てるときによく聞く建築用語だと思いますが、それぞれ名称は同じでもさまざまな種類があり、性能も違うことをご存じですか。
例えば、次世代フロンを使用した硬質ウレタンと水発泡を使用した硬質ウレタン。どちらも高断熱高気密住宅に使用されていますが、次世代フロンのものは水発泡のものに比べて2倍も硬く高性能です。壁体内に施工した場合は圧倒的な強度を保つことができ、耐震性に大きな差が生まれます。
サイディングも同じで、窒素系サイディングと樹脂サイディングでは施工後の質感、高級感が全く異なります。アメリカのデザイナーによると、現地では窒素系はオーダーメイドの住宅に、樹脂はローコスト住宅やトレーラーハウスに使用するのが常識なのだとか。
建材の性能の差は説明を聞くだけではわかりにくく、価格で選んでしまうことがあるかもしれません。ただ、竣工から月日が経つにつれ、違いは明らかになっていきます。どんな断熱材を使うのか、サイディングの種類は何なのか、設計の時点で必ず確認することが大切です。
建材に関する注意点がもう一つ。デザインに惹かれて海外からキッチンや洗面台、玄関ドアを輸入したいと考える方もいらっしゃるでしょう。ただ、海外の会社は経営体制の変更が度々あるため、アフターメンテナンスに問題が生じやすくなります。そのためデザインは踏襲し実際の製造は日本で、という方法が長い目で見ると安心です。
高性能断熱材の硬質ウレタンの現場発泡。
快適性は細部に宿る。
高断熱の家づくりにはウレタン断熱材の性能が鍵を握りますが、実は夏の暑さ対策には断熱材だけでは十分と言えません。世界最先端の技術開発が進むアメリカでは、断熱に加えて熱そのものを反射させる遮熱対策が主流となっています。
年々、夏の気温が高くなっている昨今、これまで以上に暑さ対策を真剣に考えることが必要です。硬質ウレタン+遮熱シートのウレタン遮熱工法を取り入れた高性能の住まいなら、夏はもちろん一年中、快適な室内環境を実現できます。
また、家全体を一定の温度に調整し、室内の空気をキレイに保つ全館空調システムですが、ここで重視すべきなのはリターンフィルターの性能です。空気を循環させるために壁内を通るダクト配管は、家が建ってしまうと内部を掃除することはできません。そのためダクト内が汚れないように、空気の吸い込み口にはリターンフィルターが取り付けられています。
ただ、このフィルターにも種類があり、安価な繊維状のフィルターでは小さな浮遊物は取り除けず、ダクト内が汚れやすくなります。その点、高性能の電磁式フィルターではタバコの煙まで除去でき、空気はいつもキレイなまま。全館空調システムと言っても価格が違うのは、それなりの理由があるというわけです。
屋根・天井の遮熱。
「無料設計」と経営状況のリスクに注意を。
建築会社の宣伝の中でよく見かける「無料設計」という文字。とても魅力的に感じますが、実はそこにはリスクが伴います。そもそも洋風住宅の建築には、高度なデザイン力が求められます。デザイナーがお客様の要望を伺いながら検討を繰り返し、細部までこだわって描きあげる設計図。完成までには当然ながら時間も手間もかかります。実力のあるデザイナーが、果たして無料で引き受ける仕事でしょうか。
心理学に「返報性の原理」という言葉があります。それは、人から何かしてもらったときに「こちらもお返しをしないと」という気持ちになる心理作用のことです。無料設計は、「ここまで設計してもらったんだから、この会社と契約しなければ」という気持ちが働く人間心理をうまく利用した営業の手法です。本当に納得のいく家づくりを進めるためにも、無料のリスクにはご注意ください。
見落としがちですが、建築会社の経営状況にも注意が必要です。たとえ完成補償等の保険に入っていても、その会社に何かあれば、いったん家づくりが途中で止まることは事実。場合によっては竣工時期、設計なども変更せざるを得なくなるかもしれません。家づくりを依頼される会社を検討する際は、経営状況も確認しておきましょう。