輸入住宅づくりは、鉄道模型によく似ている。細部のディティールにこだわり、高価なパーツでつくり込むことにより、完成度は増していく。

以前、より豪華な輸入住宅に憧れた時があった。その旨を私のメンターでもある建築家の手塚氏にお話しした際、この様なアドバイスを頂き「ハッ」と目が覚めた。

(手塚氏)「特別なお金持ちの方に対して希望されれば、高価な資材を使ってとことんつくり込むことは何ら問題ないと思います。しかし、多くのユーザー方は所得可能な価格で美しい住宅をつくっていくことを望んでいると思います。その様な住宅をつくっていくことが地域工務店である安城さんの役割ではないのでしょうか?安城さんのレベルでしたらいつでも特別豪華な輸入住宅をくつくることは全く問題ないと思っています」

このアドバイスにより大きな気付きを頂き感謝。

工務店が工務店のプライドで家づくりをしてはいけない。いい家をつくることが我々の最終目的では無く、その家に暮らすことにより、最終的に暮らす方やそのご家族が物質的な豊かさでは無く、心の豊かさを感じられる。そんな家づくりのお手伝いをすることこが安城建築の役割だという事に気付くことができた。

以前、手塚氏が私の気付きと同様のことを話されていたことを思い出した。

(手塚氏)「ユーザーの方が住みたくなるような街やデザイン性に優れた美しい住宅を設計することは、あくまでも通過点に過ぎないと考えています。結果的に住まわれるユーザーの方が幸せになって頂かなければ、それは造り手である我々の自己満足だけで終わり、意味が無いと思います」

創業昭和四年 安城建築 浅井宏充