今日の朝、某大手メーカーがおかしなCMを放映していた。

ポケットから手紙を取り出し、「家のローンを35年間ずっと払い続けて・・・価値がゼロ・・・そんなのってこの国だけじゃないのですか?」という驚きのコマーシャル。

「その様な家を造り続けてきたのはあなた達でしょ?」と私は言いたい。

住宅を工場のラインで生産する会社にとって、受注が低迷しラインが止まることは命取り。その為、自動車同様、頻繁にモデルチェンジを繰り返し、物理的に問題が無い家の建て替えを促してきたのである。

賢いユーザーは既に気付いている。35年で物理的に住めなくなる家は殆ど無いことを。

ローンの支払いが終わった時、日本の家の価値がゼロになる理由はシンプルである。

「この家なら暮らしてみたい・・・」という家が無いからである。

中古になっても「この家なら暮らしてみたい・・・」と人々が思う家こそが、価値が持続する家となる。その大きな要素は外観デザインである。横浜や神戸の異人館に今でも入場券を支払ってでも見てみたいと思うのは、その建物が時を越えて美しいからである。

現在造られている住宅は一定の基準以上の耐震性や断熱性能は既に当たり前であり、中古市場において、「像が乗っても壊れない」という理由で購入するユーザーは殆どいないのではと私は思う。

創業昭和四年 安城建築 浅井宏充