13年前、500系のぞみが登場した時の衝撃を今でも忘れない。「デザインの美しさと世界一という速さ」これは男にとってはたまらい。登場して直ぐ、どうしても乗りたくて、用事もないのに博多まで行ってしまった。

500系のぞみが登場して間もなくの頃、米国サクラメントの鉄道ミュージアムに行った際、ボランティアの鉄道マニアのおじさん2組に、「お前は日本人だろ?日本には凄い列車がある!300キロの世界一早いその列車に乗ったか!?」みたいなことを聞かれ、「乗ったよ」と言うと、「どんなんだった!!」と興奮気味に聞かれた覚えがある。

500系のぞみは、通常の新幹線より、先端部分が鋭角な為に先頭部分に乗車口が無かったり、ボディも通常の新幹線に比べ、より丸みがある為、居住スペースが多少犠牲になっていた部分がある。しかし、使い勝手よりも、その美しさによる魅力の方が圧倒的に上回っていたと私は思う。

これと同様のことが家の設計における外観デザインと間取りの関係性にも当てはまると私は思う。

デビュー13年を迎え東海道からは引退となった500系ではあるが、子供たちからの人気も衰えていない。500系を追う子供たちの目を見ればそれが解る。新幹線に限らず子供たちのデザイン感性は正直であり、常に正しい。

実は、現場で働く職人たちと私が気になるのは、近所の子供たちの目であり、我々のつくる建物を見ての反応である。

創業昭和四年 安城建築 浅井宏充