昔から宝塚と聞くと、宝塚ファンから怒られそうであるが、「厚化粧の女性ばかりの劇」と思っていた。どうして、これ程までも長い間、支持され続けられているのか全く理解できなかった。しかし、今回その理由がよく分かった。
とてもシンプルだが、圧倒的な宝塚ファンによって支えられている。ファンを飽きさせず、魅了し続けることが宝塚の強みである。
通常、映画等は、一度観たら同じ映画を2度も3度も観に行くことはあまり無い。しかし、宝塚を支えるファンは、同じ内容の公演を何度も何度も観に行くことが「普通」らしい。その理由は、まだ陽の目が当たらない卵の団員を応援しながら成長を見守る楽しさや、舞台で起こるハプニングを楽しんでいるらしい。(これだけではないと思うが・・・)
確かに、私も舞台でお気に入りの子を見つけ、応援してあげたくなり、プロマイドを買ってしまった。しかも、小さいものではなく、より高価なビックサイズを・・・。はまってしまった。
ファンを魅了する様々な理由が宝塚にはあるが、最大の魅力は、観るひとに感動を与え、そして、美しい生き方を説いていることだと感じた。
ひとは、感動体験をすることにより、こころの底から豊かさを感じることができ、深い悲しみから立ち直ることもできると思う。それは、老若男女皆同じである。
「観るひとを感動させ、人生に豊かさを感じてもらう」そのフィロソフィー(哲学)が、宝塚がビジョナリーカンパニー(長寿優良企業)であるゆえんだと確信した。
杖を突いた足の不自由なおばあさんが、独り、私の席の前を申し訳なさそうに横切った。不自由な体でこの会場まで来ることは、どれほど大変なことかが容易に想像できる。そこまでして観たいと思う原動力は・・・。彼女はここに来ることで、燃え残る夢と共に自由に動き回ることができるのだろう。
創業昭和四年 安城建築 浅井宏充