札幌から車で2時間半。日本最北端の廃園寸前の小さな動物園だが現在、上野動物園を上回る日本一の入場者数の動物園となり、そのブームも衰えることなく人々を魅了し続けている。
廃園寸前の時、「檻の中に動物を閉じ込めることは人間の身勝手なことではないのか?」その自問自答の中で、スタッフは徹底的に「動物園の存在意義」を考え抜いたという。
ヒントは、終戦直後にあった。
戦時中、軍部から全国の動物園に対し、猛獣の薬殺命令が出され、多くの動物が殺された。しかし、名古屋の東山動物園の園長が軍部の命令に反し、命を張って2頭の像を隠し通し終戦を迎えた。
他の動物園から、終戦を迎え「心が病んだ子供たちの為に像を一頭貸してくれないか?」という申し出が多く寄せられたが、一頭の像を引き離そうとすると、パートナーの像がコンクリートの壁に頭をぶつけて激しく抵抗し、引き離すことを断念したという。
その結果、全国から像列車が仕立てられ、多くの子供たちが東山動物園を訪れた。
戦後の焼け野原で食べることにも困っていた時代にどうしてわざわざ?そこにヒントがあった。
考えに考え抜いた時、「人は野生の動物を観ることにより、生きる為のエネルギーをもらうことができる」のでは?という旭山動物園の存在意義を確信したという。
この旭山動物園には、高価な奇獣やアトラクションはない。しかし、多くの人々を魅了し続けるのは、「明確な存在意義と智慧と徹底的に考え抜く習慣」によるものだと思う。
年末、安城建築の存在意義の再確認と家づくりにより磨きを掛ける為に、旭山動物園と北海道開拓の村(北の明治村)及び小樽に輸入住宅のルーツである西洋館から学びに北海道へ出掛けようと思っている。
創業昭和四年 安城建築 浅井宏充