安城建築

社長日記 2024.09.02

能登地震により問われた軟弱地盤

住宅の場合、耐震等級3はもう当たり前の時代となり、耐震性に優れた住宅が造られる様になりました。そして耐震化以外に地震そのものの横揺れを抑える免震装置も比較的安価なものから高価なものまであります。しかしこれらは、地盤が強固であるという前提で考えられている為、地盤が軟弱な場合、その性能を充分に発揮することが出来ないということをご存知の方は極稀かと思います。

能登地震でも軟弱地盤の地域と強固な地盤の地域では劇的に被害の差が生じました。軟弱地盤を例えるなら、ゼリー。強固な地盤を例えるなら、羊羹(ようかん)。その上に建物を建てるそんなイメージをして下さい。それを揺らすと軟弱地盤(プリン)の方が建物の揺れは増幅されます。

地中の軟弱地盤層が厚い場合、柱状改良(円柱状の穴を掘りセメントを流し込む)やコンクリートで出来たパイル(電柱を太くした様なもの)を地中に埋め込み基礎を支持する工事をしますが、これらは垂直加重には適していますが、横揺れによるせん断力に対しては非常に弱く、強い揺れの際には建物の基礎と地中の杭の接合部が破断する可能性が高くなります。私も東北の被災地で実際に大きなビルが杭の根元から折れて横転している建物を見て衝撃を受けました。能登のそのままの形で倒壊したビルも杭の破断によるものでした。

軟弱地盤に上記の様な地盤補強後、耐震性能の高い建物や免震装置を設置した場合、建物がグシャリとは潰れることは防げてもそのままの形で傾く可能性は充分考えられます。(もしこの様になった場合、住宅の場合でしたら沈下修正工事により修復することも可能なケースもあります)

いずれにしても土地から購入の皆様は、地盤には充分注意されることをお勧めします。