安城建築

社長BLOG 2007.08.10

カナダと日本

カナダと日本との貿易振興のお手伝いをされているカナダ人の方が来社された。日本に来日して既に11年、奥さまが日本人ということもあり非常に流暢な日本語に驚いた。

11年前の冬、来日して初めて暮らしたのが九州の伊万里。勿論、九州でも冬は寒い。仮住まいした家にはカナダの家では当たり前のセントラルヒーティング(全館冷暖房)が無く、朝起きると息が白く外気温とほぼ同じ温度。凍死していなかった事に感謝されたそうだ。

カナダの方から見た日本?について尋ねてみた。

「新しくきれいな車が多いですね。日曜日になるとお父さんが家の前でいつも洗車しているんですね。それはそれでいいのですが、車はピカピカでも家はボロボロ。一般的にカナダ人は車は消却資産と考えています。何故なら中古車になれば必ず値が下がってしまうからです。しかし、家は特例を除いて中古になっても値が下がりません。だから家は資産と考え大切にします」

「それから、日本の住宅デザインはかなり不思議なデザインが多いですね。カナダでは、建築様式(デザインの基本となるもの)があり、その様式に基づいて設計されます。だから、昔も今も美しい街並みになるし、中古でもデザインが古いという感覚はあまりありません」

この話しを聞き、先進国である日本がいつまで経っても豊かさが感じられない最大の要因がそこにあると私も思う。先進国で唯一住宅の価値が下がり続けるのは日本だけのようである。理由は単純明快である。中古住宅でも多くの人々からこんな素敵な家なら暮らしてみたいと感じる家を設計段階から考慮して造るか否かだと思う。

自動車産業は戦後、北米に追いつけ追い越せで、遂に世界一位となりましたが、ある住宅の権威者によると、住宅産業は50年遅れているという。地価の上昇では無く、住宅の価値が上昇した時、真の先進国の仲間入りが出来ると思う。

創業昭和四年 安城建築 浅井宏充