一流のフォーシーズンホテルのインテリアも手掛けたカリスマ建築家である。
どうしたら、この様な西洋建築のデザインができるのですか?という質問に対し、こう答えられた。
「とにかく、本物をとことん観るとこです。これに尽きます。現在、多くの建築家が独創的なデザインを創ろうとしますが、芸術でも音楽でも書道でも先ずは真似ることが大前提です。基本も出来ないのに普遍的で独創的なものなど出来るはずがない。既に建築に携わる者より、エンドユーザーの方がデザイン感性は敏感である」と言われた。
確かに天才ピカソもそうである。初めからあの様な訳の分からない抽象画を描いてはいない。しかし、この国には世界に通用する建築家や建築士が殆んどいない。メンターが居ないのである。
帰りの新幹線の中でふっと思った。
世界最古(1300年前)の木造建築を造った日本が、築20年足らずで資産価値ゼロで解体される住宅を造り、建国200年少々の米国では、築100年の住宅でも売買されている。
昨今、エコブームであるが、家づくりに関していうと、時を経てもいつまでも美しい建築物を造ることこそが最も地球環境にやさしいことだとおもう。
創業昭和四年 安城建築 浅井宏充