外装にレンガ積み若しくはレンガ張りを希望される方は、外壁の塗り替えメンテナンスを無くす目的の方が多い様です。しかし、残念ながら永久的にメンテナンスフリーを持続できるレンガ張り若しくは積みの住宅を私は見た事がありません。
外壁そのものの塗装の必要性が無くても、屋根材に瓦や天然石を使用しない限り、屋根材の塗り替えや葺き替えが必要となります。
又、例え瓦等のメンテナンスフリー材を使用しても、軒裏まで含めて全てをレンガ張り若しくはレンガ積みにして、永久的に塗装の必要の無い様な仕上げにする必要があります。
更に、屋根、外壁、軒裏以外の部分の破風(屋根軒先の樋が取り付いていない部分)や、鼻隠し(屋根軒先の樋の取り付く部分)までをもメンテナンスフリーにする必要があります。
そうしなければ、例え外壁部分の塗り替えの必要がないとは言え、外壁以外の部分のメンテナンスをする際には必ず仮設足場や養生ネットが必要となり、メンテナンス費用を大幅に削減できるわけではないのです。
外壁の一部をレンガ積み又はレンガ積みにするなら問題も少ないと言えますが、外装の大半を同様にする場合、私が最も心配することが2つあります。ひとつは増改築やサッシの不良によりサッシを丸ごと交換しなければならなくなった時。極めてコストアップとなります。
もうひとつは、万が一シロアリが入った際、サイディング張りの様に簡単に剥がせて躯体を修理することが出来ません。構造躯体そのものがレンガ造ならその様な心配はありませんが、日本で建てられる住宅の多くは、木下地でレンガ積み若しくはレンガ積みの家が殆どと言えます。
メリット、デメリットを充分理解して頂き、満足の持続する家づくりのヒントになれば幸いです。
⇒この建物こそが、レンガのメンテナンスフリーな建物。破風、鼻隠し、軒裏まで全てレンガで施工されている。(この建物には軒樋はありません)
創業昭和四年 安城建築 浅井宏充