安城建築

社長BLOG 2015.03.02

奥様からの悲痛なクレームの叫び

数年前の出来事ですが、築二十数年となるK様(ご主人様)から室内の塗り替え(クロスの上からの塗装)のご依頼がありました。

作業当日、奥様は外出されておりご主人のみご在宅されていました。そして作業中職人が誤って天然石のテーブルを倒し破損させてしまいました。ご主人は仕事柄職人気質の為、破損が不可抗力によるものとして『気にしなくていいから』と職人に言ってくれたそうです。職人もそうご主人に言われたことで、私への報告はしなくていいと判断してしまった様です。

翌日の夕方、奥様から直接私宛に電話がありました。それはそれは悲痛な声で『職人さんから報告は受けていませんか?あのテーブルはお友達から譲り受けた大切なテーブルでした。主人は仕方ないと言ったそうですが、私は到底納得できません』と。

直ぐに職人とお詫びに伺いましたが、『同じものは二度と手に入れることは出来ません』と涙を流され、私たち同様、ご主人との中も険悪なムードとなってしまっていました。確かに石のテーブルは特殊な模様の為、同じものは入手困難だとは思いましたが、『少々お時間を頂け無しでしょうか』とお願いしました。

その後、日本国内を隈なく探しましたが、同様の石はあっても同様の柄は無く、石屋さんを通じて海外の石材ルートを幾つも遡り、幾度とサンプルを送ってもらいました。しかし、同様の模様は無くあきらめそうになった直後、奇跡的にほぼ同じ模様の石が中国の石切り場で見つかったのです!!写真で確認する限り極めてよく似ていました。アクシデントより数ヶ月を要してしまいましたが、その石を中国より取り寄せ加工し納めさせて頂きました。納める際、石そのものは良く似ているが、お友達からという思い入れまでは補えないと不安で一杯でしたが、テーブルを見た瞬間、奥様の満面の笑顔に本当に救われました。

その後暫く月日が流れ、ある日・・・

奥様より同じ職場で働く同僚の方をご紹介されたのです。ご紹介して頂いた奥様曰く、Kさん(奥様)が『本当にいい会社だから・・・と何度も言われるので』と。私はあれほど悲しまれたことから想像するとご紹介して頂いたことが一瞬信じられませんでしたが、そんな風に思って頂き、感謝の気持ちで一杯になりました。

そして、それら数年を経たつい先日、私が出張中にK様のご主人が弊社を訪ねられ、『同僚が二世帯住宅を今数社で考えているので、自分としては是非とも安建さんに建ててもらいたいと思っています』とシフォンケーキのお土産までも持参してくれました。対応した弊社ハウスアドバイザー曰く、『とても熱く安建を押してくれています』と。

あれ程のことがあったのに・・・本当にありがたくてありがたくて、心より感謝です。災い転じて福となるということわざを実感しました。

創業昭和四年 安城建築 浅井宏充