先日、10年の定期点検に伺った際、断熱の話しになり、そのお客さんから『最近、ローコスト系の家でもウレタンを施工する会社が増えましたね』と言われました。
私は、同じ現場発泡ウレタン断熱という呼び名でも、全く別物というお話をさせてもらいました。大きく分けると、通常ローコスト系に使用する発砲ウレタンは、水発泡系で約100倍発泡の断熱材を使用し、より高性能、高品質を求める場合、30倍発泡の断熱材を使用します。勿論、この家は30倍発泡のウレタンを使用していますとお伝えした処、ご納得され、とても満足そうにされていました。
同じ厚みを施工した場合、100倍発泡の断熱材に比べ、30倍発泡の断熱材の方が、約35%断熱性能が優れています。又、湿気を通す透湿抵抗値も100倍発泡に比べ、30倍発泡の方が7倍優れており、断熱材の中でも構造壁体内への湿気を防ぐことが出来る最も優れた性能があります。
上記以外のメリットとして構造専門の大工さん曰く、100倍発泡に比べ30倍発泡の断熱材の方が、遥かに強度があり、これを構造用合板に施工した場合、法的な構造計算の数値には加算できないが、圧倒的な耐震性能となっていると話していました。(断熱材の中に指を差し込んだ場合、簡単にズブッと入ってしまうのが、100倍発泡で、30倍発泡の方は指を差し込むことは出来ません)
又、先日、様々な発泡ウレタンの製品を手掛けるウレタン屋の会長さん(カルビーの超大型冷凍庫の断熱も施工された方)とお話する機会があり、上記の100倍発泡と30倍発泡との断熱材について、もし、会長の家を施工するとしたら・・・?と聞いた処、『そりゃぁ、30倍にしますね』
会長曰く、『見えない部分はコストを削減しやすい。しかし、本当にお客さんのことを考えると・・・俺たちはプロだからな、それはできないよな』と。
創業昭和四年 安城建築 浅井宏充