日曜日、私の師匠である建築家の渋谷先生とゆっくりと話しをする機会に恵まれた。
最近他社にデザインを真似されるケースが多く、不満に思うと渋谷先生に伝えると、渋谷先生は少し微笑みながらこう答えてくれた。
「真似た業者にとやかく言う間があったら、もっと先に行くことが私たちのやるべきことではないのでしょうか?」
「少なくとも現状、安城さんらしさは発揮されており、関東でも時々、愛知の安城にしっかりした輸入住宅をつくる工務店があると聞きます。真似されることは名誉であると考えて下さい。近隣の同業者に教えるくらいのお気持ちでいては如何でしょうか?」といわれた。
確かに、真似する側も他社の真似は真意では無く、設計者も造り手もプライドを捨てなければ早々出来るものではない。しかも、その家を見る度に一生思い続けることだろう。それを覚悟で真似る。同業者が認めることを思えば、確かに渋谷先生の言う通りかもしれない。
弊社のモデルハウスが完成した12年前。完成式典に輸入住宅の父と言われる戸谷英世先生をお招きした。先生のスピーチの中で、「このレベルの輸入住宅を安城建築がつくったことにより、この地域の住宅レベルは格段に向上することとなるでしょう」と言われたことを思い出した。
創業昭和四年 安城建築 浅井宏充