最近、土地を探されているお客さまと話しをする機会が多い。やはり人気のエリアは区画整理され、新しい家族が集まるいわゆる新興住宅地。
心情的に古い町や田舎は、しきたり等が煩わしく敬遠される傾向がある。町中で育った私も以前は、同様の考え方だった。
しかし、その考え方がある時、一瞬で変わった。それは、地域の寄り合いの席で、あるお父さんが「○○(私の息子の名前)は幾つになった?」と話し掛けてくれたその一言だった。めったに感動しないが、この一言には非常に心を打たれた。
そのお父さんを含め、多くの大人達が子供会やお祭り等で息子を見守っていてくれたのである。文章ではその時の微妙なニュアンスを上手く表現出来ないのでもどかしさを感じるが、そのお父さんからは「いつも見守ってたから」という思いがヒシヒシと伝わってきた。
本当に頭が下がる思いで、言葉には出来なかったが、こころの中で「ありがとうございます」と念じた。
思い起こせば、こんなこともあった。よその茶髪の子に対しても、「お前よ?何んだその頭は?」という問い掛けに「いいじゃんかよ?」というように、何となくいい感じのコミュニケーションがある。これは町場ではないと思う。
地域がこども達を見守るということはこの様なことを意味するのかと、初めて分かった気がした。
今日もまた、こども達が通学で通るガソリンスタンドのスタッフが「おっ、はよ?」とこども達に声を掛けてくれる。実にありがたいことだと思う。
何処に行っても価値観の異なる人は存在する。それが世の常である。
こども達を取り巻く環境も時代と共に激化している中で、田舎も悪くないと私は思う。
創業昭和四年 安城建築 浅井宏充