安城建築

社長BLOG 2010.08.20

設計無料の裏側

多くの建築業者では、住宅の設計を無料でおこなっています。お客様も設計図面を無料で書いてもらうことはリスクが無く、メリットと感じているのではないでしょうか。中には図面以外に無償で模型まで作成してくるケースもあります。

先日モデルハウスにご来場された客様は、『家づくりは本当に解らないことばかりで、設計無料と言われると、リスクが無いから、お願いしてみようかと思ってしまいます』と言われました。

お客様側からしてみれば至れり尽くせりです。しかし、どんなレベルの設計図面であっても、時間と手間をかければボランティアでない限り費用が発生します。ではそのかかった費用は、どうなってしまうのでしょうか?

その答えは・・・

『家を建てた人たちが、建てなかった人たちの費用を負担しています』
つまり、他人が使った設計費用を、知らない間に払わされるということになります。
無料で設計してくれることに「サービスが良い」という評価になりがちですが、それがどの様な理由で無料かを冷静に考えて頂きたいと思います。

なぜ建築会社が設計を無料で受けるか、その理由はズバリ、一棟でも一日でも早く契約が欲しいからです。設計を無料にすれば、ある程度のお客様が集まり、受注が取りやすくなるからです。設計無料はお客様へのサービスでは無く、『契約までの最短コース』の業者側のメリットのためなのです。

もし、あなたが業者の立場だとしたら・・・。『無料設計をしてあげたお客様に対し、設計に要した費用の数十万を回収しなければ・・・』と考えませんか?

昔からただより高いものはないと言いますが、ただで設計してもらうことにより、返報性の法則が働き、業者側のペースとなり正しい判断が出来なくなります。(返報性の法則とは、ただで何かをしてもらったら、潜在的にお返しをしなければと思ってしまう人間の心理です)

以前、私共がお手伝いしたお客様の奥様から次の様なことを言われたことがあります。

「施工例も沢山見せてもらい、実際に建てたお客さんともお話しをさせて頂き安心しました。その後、家づくりの流れの説明をしてもらい、設計が有料だと説明をして頂きました。その時、この会社は集客ばかりを考えているわけではない。むしろ誠実さを感じました」と。

この言葉の背景には、「私はこの会社を信頼できると判断しました。あとは、建築のプロフェッショナルとして、私の夢を実現して下さいね」という想いがあったからだと思います。

現状、建築業界では、無料設計という釣り糸により集客し、契約に持ち込もうという考えが当たり前の様になっていますが、本来、自社の家づくりのことやお客様のことを充分理解し、お客様との絆を育んでから設計をスタートしていくことが私はお客様に対しての礼儀作法ではないかと考えています。

そしてもうひとつ、アドバイスがあります。もしあなた様が無料設計をしてもらおうとお考えの会社があれば、必ず会社の資産内容とその会社の生い立ち、建てたお客さんの生の声を確認することをお勧めします。大手住宅メーカーなら絶対に安心ということはありませんが、特に建設業者が中小の業者の場合には必須です。前回のこの日記でもご紹介しましたが、残念ながら輸入住宅の業者の中には倒産⇒社名を変えて会社設立⇒倒産を繰り返す会社が少なくありません。

実際に上記の様な会社の被害に合われ泣かれている業者さんやお客さんを私は見てきました。

これから家づくりをされる方には是非、目先の損得より、慌てずにゆっくりと時間を掛け、本当に信頼できる業者かをご確認してから家づくりを始められることをお勧めします。実際に家づくりに満足されているお客様は皆さん同様の過程で家づくりをされています。


追伸
中には瑕疵担保や完成保険に入れば安心でしょ?とお考えの方がみえますが、瑕疵担保はあくまでも10年です。10年未満に見えない部分で瑕疵が起こり始めていても多くのひとは気付くことはありません。10年を過ぎた時点で目に見える部分での瑕疵に気付いたとしても保険は使用することは出来ません。よって業者が潰れてしまっていれば全て自己負担となってしまいます。

特に営業主体の業者(営業や図面等の打ち合わせ中心で工事は一括して他の施工会社に丸投げする業者)の瑕疵発生率は突出しているのが現実です。

創業昭和四年 安城建築 浅井宏充