最近、設計するにあたり、設計要望書をお客さんに書いてもらうべきか否かを迷っている。
注文住宅なので、ユーザーの方の「ああしたい」「こうしたい」という気持ちも理解出来る。
ユーザーの皆様は、自分の意見が可能な限り取り入れられれば気持ちも良く、その瞬間はとても嬉しいだろう。
長年この仕事をして感じることは、ユーザーの希望を100%取り入れた場合、必ずしも満足度が持続するとは限らないということだ。
設計士は設計要望書を渡されれば、出来るだけ予算内で実現してあげたいと考える。しかし、要望書を渡した瞬間、設計士の頭の中で垣根が出来てしまう。
ユーザーの方も、造り手である我々も、満足度が持続している家を検証するとユーザーからの要望が少ないという共通点がある。
満足度の持続する住宅設計は、能力のある優秀な設計士に「予算」と「好きなデザイン」と「自分たちの暮らし方やこんなことが私たちにとっての最大の楽しみや喜びですよという様な価値観」を伝えるだけの方が設計士も最大限の能力を発揮でき、ユーザーも想像を越え、満足度が持続する家づくりが可能になると私は思う。(あくまでも、設計士に能力がある場合です)
もし私がもう一度 家づくりをするとしたら、その様にする。
創業昭和四年 安城建築 浅井宏充