時折「輸入住宅は日本の街並みに合わないのでは?」というご質問を頂くことがある。
私は「日本のどの街並みに合わせるのですか?」と思う。
戦後の焼け野原からの復興により、日本の街並みがメチャクチャになったと言うが、私は昭和30年後半までは日本の街並みは美しかったと私は思う。ALWAYS・三丁目の夕日を観ても今よりずっと美しいと思う。
私が思うに、あの時代まで日本古来の伝統や世界の建築様式のデザインの流れから大きく外れること無く建てられてきたからではないかと思う。言うなれば、昔から時代が代わっても誰もが美しいと思うデザインを用いられてきた。
その流れを変えてしまったのが、いわゆる独自性の強い建築家や独自性の強い大手ハウスメーカーではないかと思う。これらに共通することは、デザインの歴史を全く無視し独自のデザイン性こそが「競争優位性」に繋がると考えている。
消費者心理としては、「新しいデザイン」・「シンプルモダン」というトレンド的な要因に極めて魅力的に感じてしまう。しかし、その様なデザインは、その完成した瞬間は目新しく斬新に思うが、10年も経てば流行後れとなり、物理的に問題が無くても人々から評価されず、その価値は大幅に下落する。
現在の住宅展示場の多くは、「像が乗っても・・・」と言う様な、物理的な競争優位性ばかりをユーザーに訴えかけるが、建築基準法に基づいて建てられている家ならば、物理的要因で解体されることはまずない。市場での建物の価値は、「こんな家なら中古でも暮らしてみたい」・「借りたい」そう思える家こそがユーザーにとって最も得となることだと私は思う。
安城建築の考えは今の日本の街並みに合わせるのでは無く、日本の街並みを再び美しくする為のお手本を我々がつくり続けていくことが、スクラップ&ビルドに終止符を打ち、結果的にユーザーや国家、地球環境の為になると考えている。
創業昭和四年 安城建築 浅井宏充