TVニュースで放映されていたが、関東の集中豪雨で住宅の地下室が水没する被害が多発したようだ。住民によると僅か数分で想像を遥かに超える水が流れ込んだという。
もし、豪雨を知らずに地下室で熟睡していたとしたら・・・。安心安全であるはずの住宅により命の危険を脅かすことに繋がりかねないと感じた。
関東で現場監督をされていた方の話だが、ご自身が管理された住宅が集中豪雨により水没してしまった苦い経験を聞いたことがある。坂の途中で決して低地ではない立地だったが、豪雨により道が川のようになり、排水ポンプで汲み上げても道路の側溝へ排水することが出来ず水没してしまったという。
「まさかあの立地条件で水没するとは思わなかった。ドライエリアや排水ポンプまで設け、施工上の問題は全く無かった・・・あれは『天災』だった」と言われたことを思い出した。
浄化槽やドブのヘドロ等と混ざり合った濁流に一旦水没してしまった地下室は、水が退いた後も火事になった住宅同様、例えリフォームしてもいつまでも悪臭が残り、部屋そのものの使用が困難になるという。
以前、あるお客様から地下室利用の話しがあったが、上記の様なリスクを考え(都心部の狭小敷地等で容積率規制緩和を利用することを除く)、家を大きくすることや、小屋裏を利用することを選択するようお話させていただいた。
この選択は私の個人的な意見だけではなく、生の現場を経験してきた建築技術者の多くが同様の意見を持っている。
創業昭和四年 安城建築 浅井宏充