昨今100歳を超えるお年寄りも珍しくなく、『人生100年』という文字を雑誌でよく見掛ける様になりました。同時に住宅に対しても長期に渡り資産価値の持続性を求め始められています。
住宅先進国の米国では既に家は資産として考えられ我が国の様に築30年も経た時、家の資産価値が大幅に下落することはありません。その一番の理由はこの家に暮らしてみたいと思う家か否かです。それは異性に恋をする順序に似ています。
昨今では維持管理費が極力掛からない素材を使用することは確かに効果的かと言えます。しかし、それだけでは不充分であり、建物の魅力を50年後、100年後まで持続するには流行に左右されない普遍的な美しさという要素が必要不可欠となります。例えば神戸北野や弘前公園のスタバ(私も視察に行きましたが街のシンボル的な存在となっています)の建物は日本での不動産評価からすると価値はゼロですが、スタバが支払っている賃借料は周辺の新しい賃貸物件以上と思われます。理由はとてもシンプルです。建物は古くてもその美しさや懐かしさが人の感性に響き、その居心地のよさに多くの人々が魅了されてしまうからです。
私も上記の建てものでコーヒーを飲みましたが、感性が刺激される空間でとてもこころ豊かなひと時を過ごせたと感じました。
住宅においても将来的に高値で賃貸若しくは売却可能となるのは、普遍的で美しいこと。これは全世界共通の様です。
下記は日米の住宅投資額累計と住宅資産額の表です。米国では中古市場において購入金額を上回っております。逆に日本においては投資金額の半分もありません。これに対してエコノミストはその理由をメンテナンスを怠っているからだと分析していますが、現実はそうでは無く、中古市場においてユーザーがこの家なら暮らしてみたいと思う魅力的な家が無いと言うことが実態の様です。残念ながら先進国でこの様に大幅に資産価値が下落するのは日本だけの様です。
日本で最も海外の住宅を研究されていた戸谷英世先生曰くその根本的な理由は不変的なデザインにあり、伝統的なデザインをベースにすることにより、流行に左右されず、いつまでも人々を魅了し続けることが可能となりそれが資産価値の持続と繋がると仰ってます。