タイトルは元暴走族の外装職人のワンフレーズ。
以前にもご紹介したが、見た目は悪人そのもの。しかし、仕事に対するこだわりは半端ではない。
以前、安城市のI様の家を施工した際に同一敷地内の本宅にて彼の仕事の一部始終を見ていたお母さんが、「横道に反れた人が更生すると、本当に凄いね」と私に話してくれた。

写真は彼の仕事の一例。如何に手間が掛かっているかが解る。通常、外装材は1枚張り。窓廻りに枠をまわしても2重張りどまり。
(補足解説⇒軒裏のサイディングも14㍉厚のサイディングを使用。一般的には6㍉~8㍉程度。ケイカル板はサイディングに比べ、耐水性が劣る為、古い家屋等では、ケイカル板が垂れ下がっている家を時々見掛ける)

出窓の写真は3重張り。当然手間は3倍掛かる。

以前、外装職人とお客様との話しを少し離れた場所で聞いていた。
「簡単な家は4日もあれば楽勝っすよ。安建は頑張っても2週間は掛かる。そりゃ、簡単な家の方が儲かりますって」「1枚張りじゃぁないっすよ、安建は」「でも自分の仕事が終わってからもどんな色になったか気になって遠回りしても見に行っちゃうんっすよ」

補足として解説を少々。この作品が完成に至るまでには、彼の努力の他、次の様なプロセスがある。輸入住宅のデザイン様式を熟知した設計士が立案する⇒現場監督が詳細図面を描く⇒施工指示書を元に現場で職人同士シェアする。
こうして、美しいディティールが完成する。

ある私共のファンの方は「安建さんの家は重みがある」と言ってくださる。そして、またある海外生活経験のあるお客様は、「安建の家は海外に建っていても目立ちます」と。
その理由は、この様な建築家と技術者、職人とのチームプレーによる造り込みから感じられるからだと私は思う。

そこには、銭金だけの問題だけではなく、お客様は勿論、同業者をも唸らせ、アフォーダブルな輸入住宅の頂点を極め続けようとする職人や技術者のプライドがある。

創業昭和四年 安城建築 浅井宏充