昨日、現場で口数の少ないコーキング職人が「外壁はどんな色になりますか?完成したら一度見に来ます」と言った。正直、彼の職人魂溢れる言葉はとても嬉しかった。

以前、サイディング職人も「殆どの現場が記憶に残らないけど、安建の現場だけは、自分の仕事の後、どうなったかが気がかりで再度現場を訪れたくなるっすよ。数年経っても近くを通ると気になって仕方ないっすよ」と語ってくれた。

同じ大きさの家でも、デザインによって職人の手間は4倍~5倍掛かる。しかし、そこまでの予算は掛けられない。以前、この職人にどうしてそこまでやってくれるのか?と聞くと

「お客さんをギャフンと言わせなければならない」「期待値を越えるだけでは納得出来ないっすよね」「大手メーカーの様な四角い家ならもっと儲かるけど、達成感が感じられないっすよね」と笑いながら話してくれた。

ある時、サイディング職人の奥さんが現場まで弁当を届けに来ていた。わざわざ弁当を届けさせたのは、おそらく自分の仕事を奥さんに観て欲しかったのだろう。旦那の仕事を観た奥さんはどれほど旦那を尊敬したことだろうか。そして、職人は、どれほど自分の仕事を誇らしく感じたことだろう。

安城建築では、完成引渡し後メモリアルサインプレートを建てさせて頂いている。確かに営業的な要素もある。しかし、最大の理由は、職人や現場監督を初め、この作品づくりに携わったメンバー達の誇りのメモリアルプレートだと私は考えている。

以前、ドライウォール職人のお姉さんが「街を走っていて、安建らしき家があったので、近くに行ってみたら、やっぱり安建の家でした」と言われた。言葉にこそ出されなかったが、「弟達が建てた家なんだよね」という温かい想いと尊敬が込められた言葉の様に感じた。

お施主さんには、もし、職人たちの仕事に満足して頂けたのなら、彼らの為にもこのメモリアルサインプレートを付けさせて頂きたいと思っている。

創業昭和四年 安城建築 浅井宏充