数年前、大阪の矢野経済研究所・瀬戸の中小企業大学校・久留米(九州)の老舗建材店と立て続けにセミナーの講師として招かれたことがあった。その中で一番印象に残ったのは、久留米でのセミナーだった。大学教授も参加され少々焦ったが地域の工務店や大工さんも80名程お越しになっていた。夕方からのセミナーで、参加者の中には現場で金づちを振る大工さんがそのまま参加される方もいて頭が下がる思いだった。

二次会では、親子で営む工務店さん・若い大工の親方が切実な悩みを話してくださった。

超ローコスト住宅が猛進撃を開始し、その下請けと成るか否かで悩んでいる方も居た。超ローコスト住宅の下請けになった場合、仕事には困らないだろうが一日の日当は8000円程度らしい。車もガソリンも道具も自分持ちで、アルバイトの方がマシだと思った。

皆さん少々口下手ではあるが、仕事には誰にも負けないほどの情熱を持たれている方ばかりだった。間違いなくいい仕事をしているに違いない。

職人は職人であることが生きがいである。逆にそれ以外の仕事をするということは、抜け殻となってしまうということだろう。まだ当分先の話しだが定年を迎えたら、安城建築の取り組みを何らかの形で生かしながら、全国のこの様に熱く情熱を持った職人さんや父ちゃん母ちゃん工務店の応援をしつつ、美味しいものを食べて廻れたら楽しいだろうなぁと思っている。

創業昭和四年 安城建築 浅井宏充