ハウスメーカーの大御所、積水ハウスの滋賀工場が3月末に閉鎖することが決まった。

自動車産業に続き、住宅産業もかつて経験したことが無い大きな転機を迎えていると実感する。下請けのスタッフから各大手住宅メーカーの深刻な苦戦状況を聞いていたが、これほど早いとは・・・と驚いた。

戦後の焼け野原から、需要に対応すべく巨大化した日本の大手住宅メーカーだが、需要と供給のバランスが崩れ、ライン生産化により、ユーザーの趣向の多様化に対応することが事実上不可能になったと思う。

ライン化された住宅産業は、エコを唱えながらもモデルチェンジを繰り返し、スクラップ&ビルドを繰り返してきた(生産ラインを止めることができない為)。この矛盾に終止符を打つことになる。

20年程前、私はシアトル・バンクーバーのホームビルダー(工務店)を視察して廻った。大規模住宅地開発会社こそ存在したが、日本の様に住宅を工場で大量に生産する様なハウスメーカーは全く存在していなかった。

日本では「工務店=お値打ちでいい仕事はするが、センスが悪い」という様なイメージがある。しかし、訪問した先の小さな地域ホームビルダーの造る住宅のレベルの高さに驚嘆した。

日本の大手ハウスメーカーのモデルハウス(坪単価100万は越える)と比較しても全く比較にならない程、彼らの造るカスタムハウス(注文住宅)は惚れ惚れするほど美しく、丁重に造り込まれていた。訪問したビルダーは皆、共通して、自分たちの造る家をとても誇らしげに説明してくれたことを覚えている。

腰にスケール(メジャー)をぶら下げ、ジーンズにTシャツ姿で大型ピックアップに乗り、誇らしげに働くビルダーはメチャクチャに格好よく、私の憧れとなった。

我々安城建築の使命として、大手ハウスメーカーに造ることの出来ない、時を経ても美しく、ノスタルジーを感じる家をつくり続け、明治・昭和の頃の様な美しい街並みを再び日本に広げて行きたいと思う。

創業昭和四年 安城建築 浅井宏充