安城建築が造りたい輸入住宅は、以前この日記でもお伝えした通り、どことなく懐かしさを感じ、感性に響く住宅である。いくら、正式な様式に基づいてデザインされている住宅であっても、成金の方が好む様な派手だけの輸入住宅は正直言って造りたくは無いと思っている。

米国では、911のテロによって国民の生き方が問われた。テロ以前、あの貿易センタービルで働くことは成功者の証であり、ビルはその象徴だった。しかし、あのテロにより成功の象徴は一瞬に崩れ去った。

機内でテロリストと命がけで格闘した人々。

危険を省みず職務を全うし、ビルを駆け上がって行く消防士。

大切なひとの消息を懸命に探す人々。

多くの尊い命を失ったが、「真の人生の豊かさとは?」という問いに気付かされた出来事でもあった。そして、人生の豊かさとは、富や地位では無く「生き方」であることに多くの国民が気付いたのである。

その結果、真の金持ちは(こころの豊かさも兼ね備えている金持ち)リムジンに乗ることはもはやダサい。という価値観になったそうである。住宅においても、真の金持ちは如何にも成金の方が好むゴージャスで派手な住宅より、トスカーナスタイル(イタリアのぶどう農園を現代風にした様な家)の様な、日本語で表現すると、「おごそかさ」を感じられるスタイルが好まれる様に変わって来ている。何故なら、家は自分の行き方を自己表現する最大の買い物だという考え方がある為である。

輸入住宅には奥深い設計思想を伴わなければならないと思う。そして、最終的にはその設計思想全てが暮らす方や家族の「人生の豊かさ」に連動していなければ、本物とは言えないと思う。

創業昭和四年 安城建築 浅井宏充