これから家を建てようとされる方皆様、高気密高断熱に関心を持たれている。ただ、ユーザーの多くが高気密高断熱住宅にすれば、快適な家になると勘違いされていると思う。

この話しをすると皆さん驚かれるが、どんなに断熱性能に優れていたとしても、それは熱伝導が遅いだけであり、室内を冷暖房出来るシステムが完備されていなければ、いずれ外部の熱は伝わってくる。

弊社の事務所には次世代フロンを使用した現場発泡のウレタン断熱材が施工されている。真夏でも全館空調システムの温度を下げると、途端に寒くなる程の断熱性能がある

帰社時に空調システムを切ったとしても翌日の10時頃までは、極めて快適に過ごすことが出来る。しかし、それ以上空調を止めておくと今度は熱がこもり始める。これはどの様な断熱材でも同様の現象が起こる。昨今では米国より遮熱という考え方も加わり、この様な熱のこもり対策に極めて有効な施工方法も認知され始めてきた。しかし、超高性能な断熱材+遮熱材を使用したとしても、高気密高断熱の住宅には空調システムがなければ、全館を快適な環境にすることは無理である。

高気密高断熱を売りにする会社の中には、「弊社の建物は超高気密高断熱+24時間換気システムがあるので、ルームエアコンが2台程度で家中が快適に過ごせます」とうたっているところもある。しかし、本当だろうか?おそらく、その方自身が同様の家に暮らし、体感された経験談ではないと思う。計算上の机上論ではそうかもしれないが、実際にその様な条件で全室をむら無く快適にすることは出来ない。
おそらく、超ハイスペックな断熱仕様にする為の費用が掛かり過ぎ、本体価格が高くなり、コスト的な制約の為、全館空調を導入することが出来ない理由からだと考えられる。

高気密高断熱を希望されるユーザーの方の最終目的は、「夏冬、家中どこに居ても快適な温度の暮らしをしたい」ということだと思う。高気密高断熱を部分的な数値だけで捉えるのでは無く、快適な暮らしの実現は、様々な要因の組み合わせだと考えて頂きたい。

創業昭和四年 安城建築 浅井宏充